人はなぜ苦しくても生きなければならないのか

僕は毎日が苦しい 辛い、悲しい腹が立つ

人としてごく当たり前のことができず、

不自由で、不自由で、痛くて、痛くて、悔しくて、悔しくて、

外に出るだけでも

他の人と比較して人間としての当たり前の機能の無さに愕然とし、

心が屈辱感にまみれる。それに加えて、四六時中激痛に耐え続けている

それでも生きていかなければならない

なぜ?

以前にも紹介しましたが以下の童話「100万回生きた猫」が

僕に「生きなければならない」、つまり「生きる意味」のヒント

を教えてくれた・・

つまり人(特に愛する人)との「つながり」のため・・

いわゆる成功の人生と言われる

経済的成功のためでも、

名誉のためでも、

娯楽のためでもない

人(特に愛する人)との「つながり」のため・・

そのために苦しみに耐えて生きている

ただきっとそうだと思う

それが苦しくても、生きなければならない理由

僕一人だったらこんなに苦しい人生、、とっくに死を選んでいると思う



100万回生きた猫  佐野洋子
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100万年も 死なない ねこが いました。
100万回も 死んで、 100万回も 生きたのです。
りっぱな とらねこでした。

100万人の 人が、そのねこを かわいがり、100万人の 人が、
そのねこが 死んだとき 泣きました。

でもそのねこは、1回も 泣きませんでした。

あるとき、 ねこは 王さまの ねこでした。 ねこは、王さまなんか きらいでした。
王さまは 戦争が じょうずで、 いつも 戦争を していました。
そして、 ねこを りっぱな かごに いれて、 戦争に 連れていきました。
ある日、 ねこは 飛んできた矢に あたって、死んでしまいました。
王さまは、 戦いの真っ最中に、 ねこを 抱いて泣きました。
王さまは、 戦争をやめて、 お城に 帰ってきました。
そして、 お城の庭に ねこを埋めました。

あるとき、 ねこは 船のりの ねこでした。 ねこは、 海なんか きらいでした。
船のりは、 世界中の海と、 世界中の港に ねこを 連れていきました。
ある日、 ねこは船から 落ちてしまいました。 ねこは 泳げなかったのです。
船のりが急いで あみで すくいあげるとねこは びしょぬれになって、 死んでいました。
船のりは、 濡れたぞうきんのようになった ねこを抱いて、 大きな声で泣きました。
そして、 遠い 港町の 木の下に、 ねこを埋めました。

あるとき、 ねこは サーカスの 手品つかいの ねこでした。 ねこは、 サーカスなんか きらいでした。
手品つかいは、 毎日 ねこを箱の中に 入れて、 のこぎりで まっぷたつに しました。
それから 丸のままのねこを箱から 取りだし、拍手喝さいを受けました。
ある日、手品つかいは まちがえて、 本当に ねこを まっぷたつに してしまいました。
手品つかいは、 まっぷたつに なってしまった ねこを両手に ぶらさげて、 大きな声で泣きました。
だれも 拍手喝さいを しませんでした。
手品つかいは、サーカス小屋の 裏にねこを埋めました。

あるとき、 ねこは どろぼうの ねこでした。 ねこは、 どろぼうなんか だいきらいでした。
どろぼうは、 ねこと いっしょに、 くらい町を ねこのように 静かに 歩きまわりました。
どろぼうは、 犬のいる 家にだけ どろぼうに 入りました。犬が ねこに 吠えている間に、
どろぼうは 金庫を こじあけました。
ある日 ねこは犬に 噛み殺されてしまいました。
どろぼうは、 盗んだ ダイヤモンドと いっしょに ねこをだいて、 夜の町を 大きな声で泣きながら 歩きました。
そして 家に帰って 小さな庭に ねこを埋めました。

あるとき、 ねこは、 ひとりぼっちの おばあさんの ねこでした。
ねこは、 おばあさんなんか だいきらいでした。
おばあさんは、 毎日 ねこを抱いて、 小さな窓から 外を 見ていました。
ねこは、 一日じゅう おばあさんの ひざの上で眠っていました。
やがて、 ねこは 年をとって死にました。
よぼよぼのおばあさんは、 よぼよぼの 死んだねこを抱いて一日中 泣きました。
おばあさんは、 庭の木の下に ねこを埋めました。

あるとき、ねこは 小さな 女の子の ねこでした。 ねこは 女の子なんか だいきらいでした。
ねこは、 子どもなんか だいきらいでした。
女の子は、 ねこを おんぶしたり、 しっかり抱いて 寝たりしました。
泣いた時は、 ねこの背中で涙を拭きました。
ある日、 ねこは女の子の背中で、 おぶいひもが 首に まきついて 死んでしまいました。
ぐらぐらの頭に なってしまった ねこを抱いて女の子は 一日中 泣きました。
そして、ねこを 庭の木の下に 埋めました。

ねこは 死ぬのなんか平気だったのです。

あるとき、 ねこは だれのねこでも ありませんでした。 のらねこだったのです。
ねこは はじめて 自分のねこになりました。 ねこは 自分が だいすきでした。
なにしろ、 りっぱな とらねこだったので にっぱな のらねこに なりました。
どんな めすねこも、 ねこの お嫁さんに なりたがりました。
大きなサカナを プレゼントする ねこも いました。
上等のねずみを差し出す ねこも いました。
めずらしい またたびを おみやげにする ねこも いました。

ねこは言いました。
「おれは、 100万回も 死んだんだぜ。 いまさら おっかしくて!」
ねこは、誰よりも 自分が 好きだったのです。
たった1ぴき、 ねこに 見むきも しない、 白い美しい ねこが いました。
ねこは、 白いねこの そばに いって 「おれは、100万回も しんだんだぜ!」 と 言いました。
白いねこは。 「そう。」 と いったきりでした。 ねこは、少し腹を立てました。
なにしろ、 自分が だいすきでしたからね。

次の日も、次の日も、ねこは白いねこの ところへ行って、言いました。
「きみは まだ 1回も 生きおわって いないんだろ。」 白いねこは、 「そう。」 と 言ったきりでした。
ある日、 ねこは、 白いねこの 前で、 くるくると 3回 宙返りをして 言いました。
「おれ、 サーカスの ネコだったことも あるんだぜ。」 白いねこは、 「そう。」 と 言ったきりでした。
「おれは、 100万回も......。」 と 言いかけて
ねこは「そばに いても いいかい。」 と白いねこに たずねました。
白いねこは、 「ええ。」 と言いました。
ねこは、 白い ねこの そばに、 いつまでも いました。

白いねこは、 かわいい 子ねこを たくさん 産みました。
ねこは もう 「おれは、 100万回も......。」 とは、決して 言いませんでした。
ねこは、 白いねこと たくさんの 子ねこを、 自分よりも すきなくらいでした。
やがて、 子ねこ達は大きくなって、 それぞれ どこかへ 行きました。
「あいつらも りっぱな のらねこに なったなあ。」
と、 ねこは満足して言いました。
「ええ。」 と 白いねこは 言いました。
そして、 グルグルと やさしく のどを 鳴らしました。

白いねこは、 すこし おばあさんに なっていました。 ねこは、 いっそう やさしく、 グルグルと のどを ならしました。
ねこは、 白いねこと いっしょに、 いつまでも 生きていたいと 思いました。

ある日、 白いねこは、 ねこの となりで、 しずかに うごかなく なっていました。
ねこは、 はじめて 泣きました。
夜になって、 朝になって、 また 夜になって、 朝になって、 100万回も泣きました。
朝になって、 夜になって、 ある日の お昼に、 ねこは 泣きやみました。

ねこは、 白いねこの となりで、 しずかに うごかなく なりました。

ねこは もう、 けっして 生きかえりませんでした。


おしまい。
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