深層水を利用する

日本で有望とみられ、自治体が関心を持っているのが海洋深層水の利用である。深層水とは太陽の光が届かない、水深が200メートル前後より深い海を指している。それ以上浅い海は、表層水と呼んで区分けしている。

 表層水は光が届く範囲の深さで、プランクトンによる光合成が盛んに行われている。いわば生産を行う海である。深層水は光が届かない。このため有機物が分解され、リンや窒素などの栄養分を豊富に含む海水である。表層水に比べて圧倒的に細菌の数が少ない、非常に清浄な水なのである。また年間を通じて水温が摂氏数度と低い。

 これらの深層水の特徴を生かし、ポンプでくみ上げて、陸上で養殖などが行われている。栄養塩が豊富でしかも清浄な海水のため、魚の生長がよく、病気に冒されることが少ないので、歩留まりもいいと評判である。

 高知県海洋深層水研究所では養殖の他に、深層水をうすめた飲料水や化粧水なども商品化。また研究所のある室戸では地元企業などが深層水を使った自然塩作りを行っている。

 富山県水産試験場では富山湾深層水をくみ上げて、養殖などの実験を行っている。

 沖繩県でも深層水に取り組んでいる。こちらは沖繩本島の南方海域、水深約1800メートルの海上に浮かべたブイにポンプを取り付け、深層水をくみ上げる方法だ。ポンプは水深600メートルと1400メートルから深層水をくみ上げることができる。沖繩県海洋深層水開発協同組合が行っている。深層水を使った飲料水や塩などを製造し、農業への応用も実験されている。

 深層水への取り組みは静岡県でも始まった。駿河湾にある焼津市に建設され、2001年4月から本格的に稼働する。駿河湾の水深680メートルの深層水と380メートルの中層水と、2つの異なる海水をくみ上げ、利用する。水温は摂氏5~8度。1日に最大4000トンの海水をくみ上げることができる。深層水の取水ポンプや施設のエンジニアリングは清水建設が手がけている。

 大成建設もこの分野に乗り出している。自治体では北海道、三重県兵庫県なども深層水利用を計画している。

 無尽の海洋資源といわれる深層水ではあるが、陸上で利用するためにはポンプでくみ上げる必要がある。その解決には太陽光発電風力発電などの自然エネルギーを併用することが、今後、検討されるべきだろう。