森林など二酸化炭素の吸収源の定義

日本がCOP6で異常なまでに執着したのが、二酸化炭素の吸収源の定義である。二酸化炭素は生産活動などで大気中に排出されるけれども、ただ放出されているわけではない。森林や海洋に吸収されているのである。吸収源については、京都議定書の第3条第3項に1990年以降に新規植林、再植林、森林減少によるものと、されている。

 しかしその内容は、はなはだ曖昧なものだった。たとえば森林とは何をさすのか、ここからして分からない。木がたくさんある場所を森林というのだろうが、その木の密度が決められていない。

 とりわけ再植林とは何か、これが議論のポイントになっている。再植林には解釈が二つあって、ひとつはもともと森林だったところを開墾して農地にした場所に、植林する活動を再植林とする。もうひとつは森林を伐採した場所で自然に木が生えてくるものも再植林とする考え方である。これだけでも吸収源の割合は変わってくる。

 さらに問題を複雑にしたのが京都議定書の第3条第4項に書かれている「追加的な人為活動」である。これは農業用地の土壤、土地利用の変化、森林関連分野といったものがあげられているが、これらが具体的に何を意味しているかは、はっきりとは書かれていない。

 実に複雑で曖昧な吸収源の扱いなのだが、その定義をCOP6で決めるはずだった。

 京都議定書をごく普通に解釈すると、1990年以降に新規植林や再植林などによる吸収源によって削減できる二酸化炭素の割合は、日本は0・3%になると試算されている。しかし日本政府は「追加的な人為活動」に基づいて、1989年以前に植えられた樹木も含め、あらゆる森林、つまり天然林なども吸収源と見なす考えを持っていた。これで計算すると日本の吸収源は3・7%になる。

 だが、COP6が開かれる前から、日本の主張がCOP6で受け入れられるという見方はほとんどなかった。果たして、日本の主張はEUなどの反対にあい、合意は得られなかった。

 環境保護団体などは、京都メカニズムや吸収源は、自国で削減努力をしたくないための、抜け道だと、厳しく批判している。

 京都メカニズムと吸収源をめぐる議論、さらには遵守規定、つまり削減目標を達成できなかった国に対するペナルティをどうするか。途上国に対する援助など、実に複雑な議論がCOP6では行われた。そして何も決まらなかったのである。